「物流2027年問題」という言葉を耳にする機会が増えてきました。
ドライバー不足。
高速道路の老朽化工事。
着荷主規制。
物流関連法の改正。
新聞や業界誌では、こうした話題が数多く取り上げられています。
しかし私は、この「物流2027年問題」という呼び方そのものが、大きな誤解を生んでいるように感じています。
なぜなら、この問題は物流会社だけの問題ではないからです。
本当に問われているのは、製造メーカーをはじめとする荷主企業の経営そのものです。
2024年問題は終わっていない
「2024年問題は結局、大騒ぎしたほどではなかった。」
そう感じている方もいらっしゃるかもしれません。
確かに、多くの人が予想したような物流の大混乱は起きませんでした。
しかし、それは問題が解決したからではありません。
景気の停滞や物価高の影響で物量そのものが減少し、「運ぶ荷物」と「運べる能力」が一時的に均衡したに過ぎません。
言い換えれば、物流危機が消えたのではなく、見えにくくなっただけです。
その間にも、物流現場では確実に変化が進んでいました。
荷待ち時間の削減。
荷役時間の見直し。
運賃の適正化。
そして、荷主企業に対する法的な責任の強化です。
2024年問題は終わったのではありません。
むしろ、2026年、2027年へ向けた序章だったのです。
国は、なぜ荷主企業へ矛先を向けたのか
ここで、一つ考えていただきたいことがあります。
もし本当に原因が運送会社だけにあるのなら、
国は運送会社だけを規制すれば良かったはずです。
ところが実際には、
改正物流効率化法、
物流関連二法、
CLO制度など、
次々と荷主企業側へ責任が求められる制度が始まりました。
これは何を意味しているのでしょうか。
私は、
物流の問題は、物流会社では解決できない。
そう国が判断したからだと思っています。
荷待ち。
短納期。
小口配送。
過剰な時間指定。
こうした商習慣は、運送会社が決めたものではありません。
営業が約束し、
生産が計画し、
購買が発注し、
経営が認めてきた結果です。
つまり、物流は会社全体が作り出しているのです。
物流は会社の通信簿である
私は四十年以上、物流に携わってきました。
現場へ行くたびに思うことがあります。
物流は会社の通信簿だということです。
物流センターで起きていることは、
営業の問題であり、
生産の問題であり、
購買の問題であり、
経営の問題でもあります。
だから私は、
倉庫を見れば会社が分かる、
そう考えています。
「物流改善」と聞くと、多くの会社は物流部門の仕事だと思います。
しかし、物流部門だけを改善しても、物流は改善しません。
物流は、会社全体の結果だからです。
2027年問題の本当の怖さ
2027年には、さらに大きな変化が始まります。
ベテランドライバーの大量退職。
高速道路リニューアル工事の本格化。
着荷主規制の強化。
これらが同時に進みます。
すると何が起きるのでしょうか。
運賃が上がるだけではありません。
「運んでください。」
そうお願いしても、
「運べません。」
と言われる時代が現実になります。
これは物流会社の問題ではありません。
自社の販売計画そのものが成立しなくなるということです。
最初に変えるべきは、物流センターではない
では、何を変えればよいのでしょうか。
DXでしょうか。
新しい倉庫でしょうか。
物流システムでしょうか。
もちろん、それらも必要です。
しかし私は、それより先に見直すべきものがあると思っています。
それは、
会議です。
営業会議。
生産会議。
経営会議。
納品条件も、
リードタイムも、
発注単位も、
サービスレベルも、
すべて会議で決まっています。
物流現場は、その結果を実行しているだけです。
だから私は、
物流は現場で苦しみますが、
物流を作っているのは会議室だと考えています。
次に必要になるもの
物流2027年問題は、
物流の問題ではありません。
会社全体の経営構造が問われる問題です。
だからこそ国は、
物流部門だけではなく、
経営そのものを動かす仕組みを作ろうとしています。
その象徴が「CLO(物流統括管理者)」です。
しかし、CLOとは単なる肩書ではありません。
物流部長の呼び名を変えれば済む話でもありません。
なぜ国は、物流部長ではなく、役員クラスのCLOを求めたのでしょうか。
そこに、物流2027年問題の本当の答えがあります。
次回は、その理由について、もう少し深く考えてみたいと思います。
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