【第2弾】荷主が誤解しがちな5つのポイント

コンサルティング

── 「共同リスクマネジメント」から始める運賃交渉

はじめに:交渉は「前提を揃える」ところから始まる

2026年の今、物流はすでに“元に戻らない世界”に入っています。

  • 拘束時間規制は完全に定着
  • 夜間・長距離の無理な運行は例外扱い
  • ドライバー不足は構造的
  • 地域によっては輸送能力そのものが不足

一方で荷主側も、欠品や遅延を経験し、物流の重要性を理解し始めています。
それでも現場には、「昔の物流モデル」を前提にした誤解が残っています。

この前提がズレたままでは、原価計算書を出しても交渉は進みません。
だからこそ今は、

誤解を正すのではなく、“新しい前提を一緒に揃える”ことが交渉の入口

なのです。


誤解①:待機は仕方ない(ではなく「輸送能力の浪費」)

「うちだけじゃない」「物流拠点は待つもの」──
こうした声は今もありますが、2026年の制約下では待機は致命的な損失です。

  • 減価償却
  • 人件費
  • 燃料
  • そして本来運べたはずの“機会”

これらすべてが失われます。

拘束時間に上限がある今、1〜2時間の待機で配送ルートが破綻することも珍しくありません。

「待機は無料ではない」
この理解が、交渉の最初のステップです。


誤解②:附帯作業はサービス(ではなく「別立てすべき労働」)

積み替え、ラベル貼り、棚入れ……。
長年“サービス”扱いされてきた附帯作業は、今や配送能力を削る最大要因です。

  • 附帯作業に時間を取られる
  • 運転時間が減る
  • 配送件数が落ちる

という構造が、2026年ではより鮮明です。

必要なのは、

  • 附帯作業を労働として明確化する
  • 別料金化するか
  • 荷主側で巻き取るか

という役割の再設計です。


誤解③:配送頻度は減らせない(ではなく「頻度を再設計しないと持続しない」)

営業や販売先の要望で、小口多頻度配送を続ける企業は多いですが、
これは最も破綻しやすいモデルです。

荷物量が少なくても、

  • 接車
  • 荷降ろし
  • 移動

といった“固定拘束時間”は変わりません。
つまり、輸送能力を細切れにして消費する構造です。

先進的な荷主はすでに、

  • 発注ロットの見直し
  • 共同配送
  • 積載率向上

へ舵を切っています。

「頻度の見直し=安定供給を守る条件」
という視点が必要です。


誤解④:物流は24時間動く(ではなく「限られた時間帯で最適化する」)

「夜間に走れば効率的」「早朝に届けてほしい」──
かつての常識は、2026年では成立しません。

  • 拘束時間の上限
  • 休息義務
  • 深夜帯の運行コスト上昇
  • ドライバー不足

これらが重なり、現場は“走りたくても走れない”状況です。

テクノロジーが進んでも、最終的に荷物を届けるのは人間。
だからこそ今は、

「いつでも運べる」ではなく「運べる時間帯でどう組むか」

という発想が必要です。


誤解⑤:運賃は削減対象(ではなく「事業継続のための投資」)

運賃を削れば、運送会社は

  • ドライバーに適正賃金を払えない
  • 車両更新ができない
  • 結果として輸送能力が縮小する

という悪循環に陥ります。

そのツケは荷主自身の

  • 欠品
  • 納品遅延
  • ブランド毀損

として返ってきます。

運賃は、

「自社サプライチェーンを守るための保険料」

と捉え直す必要があります。

まとめ:2026年の交渉は「共同リスクマネジメント」


5つの誤解はすべて、
「輸送能力が有限である」という一点に収れんします。

  • 待機は輸送能力の浪費
  • 附帯作業は別立てすべき労働
  • 小口多頻度配送は破綻の入口
  • 24時間稼働は終わり、時間帯最適化へ
  • 運賃は投資であり、削減対象ではない

これらの前提が揃ったとき、初めて荷主は

「なぜ運送会社が環境改善と運賃改定を求めるのか」

を構造として理解します。

その瞬間、交渉は

  • 利益の奪い合い →
  • サプライチェーン崩壊を防ぐ“共同リスクマネジメント”

へと変わります。


【次回予告】「輸送能力の消失」と地域物流のこれから

次回は、2024年以降に現場で実際に起きた
“輸送能力の消失”
について深掘りします。

  • なぜ特定地域からトラックが消えていくのか
  • どの業種から限界が表面化しているのか
  • 荷主と運送会社が模索する“共存モデル”とは何か

現場で進む構造変化を、さらに具体的に解説します。



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